忘れん坊の外部記憶域

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ジェンダーギャップに関する国際ランキングを見る

 少し旬が過ぎてしまいましたが、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表しているジェンダーギャップ指数に関するランキングについてまとめましょう。

男女平等に関する指標

 まず前提情報として、男女の平等に関する指標にはいくつかの種類があります。

 どれの順位が高いだの低いだのはどうでもよくて、何故その順位になったかの内訳が重要です。順位が低くて話題性が高いためWEFのジェンダーギャップ指数がメディアではよく報道されますが、その中身を見なければ順位の意味は理解できないでしょう。

ジェンダーギャップ指数

 2021年のレポートでの日本の順位は120/156位でした。

 ジェンダーギャップ指数は4つの分野(経済、教育、健康、政治)でどの程度の男女比があるかを見る指標です。

 正確には男女比ではなく女性のエンパワーメントが高ければ1、低ければ0になる数値です。つまり男性がディスエンパワーメントされている場合でもスコアが上がるので注意が必要です。

経済参加と機会

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 経済に関しては全体的に日本のスコアが低いカテゴリです。これに関してはある程度実態に即した順位だと思います。実際に賃金格差はありますので。

 ただ個人的には労働人口比率がイコールである必要は必ずしも無いとは思います。女性が働かなくても生きていける社会のほうが女性に優しいのでは?

 経済のスコアが高い国は途上国の方が多くなります。男は農業や鉱業といった低賃金労働に駆り出されており、相対的に給料の高い事務職や専門職の就業率は女性が多くなるためです。また途上国では女性のSTEM分野への進出率が高い統計があります。STEM分野は真っ当な収入を得られることが期待されるためです。先進国では女性の生活に支障が無く自由に仕事を選べるため、STEM分野への進出率が下がる傾向にあります。

 教育水準

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  教育に関するカテゴリもあまり順位は高くありません。高校進学率も短大含む大学等進学率も女性の方が高いはずですが、これはどこから持ってきたデータなのでしょう?このデータだと日本の高校進学率は約50%ということになるのですが、文部科学省の統計では97%を越えているはずです。謎のデータですね。

 健康と生存

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 健康に関しては健康寿命が少しランクを落としています。健康寿命はなぜかスコア上限が1ではなく1.06になっています。男性が早く死ねば死ぬほど加点される不思議な項目です。さらに単純比率なので、日本のように健康寿命が長い国には不利な算出方法です。(40歳と39歳であれば1.03点ですが、70歳と69歳では1.01点です。)

 政治的なエンパワーメント

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 政治に関してはもはや語るまでもなく、この項目が圧倒的に日本のスコアを落としています。まあ、実際に少ないですからね。

まとめと比較

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 各項目でのランクとスコア、項目の平均点を抜き出したのが上の表です。

 ここから分かるように、教育と健康については平均点が高いためスコアの重み付けとしてはほぼ無い状態です。つまりこのランキングは政治>経済>教育=健康というウェイトで点数付けされています。政治のランキングは1位がアイスランド、2位がフィンランド、3位がノルウェーです。総合ランキングも1位がアイスランド、2位がフィンランド、3位がノルウェーです。つまりこのランキングはジェンダーギャップというよりも政治家の女性比率ランキングと言ったほうがいいでしょう。経済のランキングでは1位がラオス、2位がバハマ、3位がブルンジですのでやはり政治のウェイトが圧倒的と言えます。

 北欧諸国が上位を独占するのも納得でしょう、一定の女性比率を達成しなければいけないクォータ制などを導入していますので。日本がランキングを上げるのであれば、女性議員や女性大臣を増やすことが最も簡単な方法です。

 

 参考として、1位のアイスランドと日本を比較してみましょう。

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 政治のスコア差が圧倒的です。

 高等教育に格差があると当然ながら賃金格差や専門職比率に現れます。アイスランドでは女性の90%以上が大学に進学しており、男性は50%のようです。専門職は男女比が41:59と女性のほうが多いです。ここまで差が開いていると逆に男性差別のような気もしてしまいますが、ジェンダーギャップ指数は男性をディスエンパワーメントすることでも点数が上がるのでもうスコアの付け方の問題としか言えないです。

 

 各国の政治スコアをざっと見る限り、最も差が出ているのは国家元首の比率でした。これは過去50年間で女性の年数が0年であればスコア0、25年以上であればスコア1になります。アイスランドは0.883、日本は0です。日本の場合は内閣総理大臣でカウントしています。この項目だけはその時点の男女比ではなく過去50年間での年数比になりますので、今スコアが低い国が高い国を追い抜くにはとても年数が掛かります。毎年発表する指標としてはあまり良い点数の付け方とは思えません。政治スコアでランキングがほぼ決まるのにそれが変動しにくい算出方法になっているのは問題でしょう。

 議員の男女比であれば男女平等を測る指標に使うのは適切だと思いますが、国家元首の性別は平等度合いを測るのには正直なところ不適切です。共和制のように国家元首を選挙で選ぶ国ならばまだ適用できますが、世襲制の場合子供の性別は確率論になります。そもそも国家の代表者を選ぶ場合は性別では無く実績と能力、人格などを考慮して選ぶものであり、「格差」の指標としては役に立たないでしょう。

参考:参議院選挙のデータ

 日本の参議院選挙のデータを見てみましょう。

 女性の出馬率は男性の1/4、当選率には特に有意差はありません。男性は累計の平均で約33%、女性は約31%です。日本は出馬において性別の制約は無いこと、女性だから当選しないというわけではないことから、単純に男女格差というわけではなく参加意欲の差ということです。土方や漁師、保育士などに男女差が出るのと同じです。むしろ男女それぞれに選択の自由があるからこそ国家や社会に強制されず好きな職業につけているということです。 

余談

 政治家の給料はそこそこ良いですが、メディアや他党、国民や各種団体からはものすごく叩かれますし、利害調整というのは泥臭い仕事です。先生と呼ばれて面子は立ちますが、正直あまり割に合う仕事では無いと思います。そんな仕事は禿散らかしたおっさんにやらせておいて、もっと楽しくて華やかな仕事がしたいという女性が多く、それが社会的にも許されているというだけの話でしょう。もちろん女性議員の障壁になっている様々な事象を改善することは必要でしょうが、国連の世界価値観調査からも分かるように日本では男性よりも女性のほうが幸福を感じている社会ですので、クォータ制の導入など無理やり女性議員比率を上げるようなやり方は結果として女性の幸福度を下げることになりかねません。

 少し思うに、twitterとかで政治的なツイートをしている人の一部は凄く攻撃的で不平が多く不満が溜まっているように見えます。実は政治に関わらないほうが人生の幸福度が上がるのでは?と思わないでも無いです。因果関係は分からないですし順序が逆かもしれませんが。