忘れん坊の外部記憶域

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国際ランキングの見方~自由度ランキングを見る

国際ランキングの見方

 国際ランキングとは各種のシンクタンクNGO、政府機関やメディアなどが公表するランキングで、様々な種類があります。

 順位付けされていると相対的な差が目に見えて分かりやすいですし順位によってはセンセーショナルな印象を受けることもあるため、ニュースバリューがある場合のみマスメディアは報道します。具体的に言えば凄い上位だった場合か、凄い下位だった場合です。

 確かに順位付けされていると感覚的には分かりやすくなります。しかし注意しなければいけないことは、そのランキングはどのような方法で順位付けられたものなのかをちゃんと知らなければいけないということです。ただ順位が良かった悪かっただけを見ても意味がありません。

 学校の定期試験と同じようなものです。順位が低かったとしてもその順位自体に大きな意味は無く、どの教科で点数を取れていなかったか、何が弱みかを分析して重点的に対策を取ったりするためにあります。重要なのは定期試験のその時の順位ではなく、学力を伸ばして選択肢を広げることなのです。

 

自由度ランキング 

 国際ランキングには様々なものがありますが、今回は自由度ランキングを見てみましょう。

 これはアメリカに本部を置いている国際NGO団体フリーダム・ハウスが毎年発表しているランキングです。政治的自由と市民的自由の観点から各種指標を用いて専門家が分析して、210の国と地域に対して100点満点でスコアを付けています。

 具体的には、自由で公正な普通選挙が行われているか、政治過程や立候補は自由か、表現や信仰、結社の自由はあるか、といった感じです。

 2021年に発表されたスコアでは、日本は96/100でした。順位は13/210位ですので、まあ上位と言っていいでしょう。

 スコアの平均点は56点、標準偏差31です。学生のように偏差値に置き換えてみると、日本は偏差値63となります。優等生といってよさそうです。

 100点満点はフィンランドノルウェースウェーデンの3国です。やはりこの手のランキングでは北欧勢が圧倒的に強いですね。

 反対に最下位であるシリアとチベット1点でした。シリアは2020年のスコアが0点だったので少し改善…いや、誤差ですかね。

 

 日本のスコア96/100の内訳を見たいところですが、残念ながら2020年度のレポートはまだ公開されていません。とはいえ日本は過去5年間でずっと96点を維持していますので、2019年度のレポートのほうを見てみましょう。

 減点されている4項目を見てみましょう。各項目で1点ずつ、合計4点の減点です。

Are there free and independent media?

 無料で独立したメディアはあるか?では「特定秘密保護法」に対する懸念と記者クラブ制度が減点要因のようです。特定秘密保護法については2020年度のレポート次第ですが、記者クラブ制度は以前から指摘され続けている要因となります。こればかりはメディア側の意向になりますので一市民としてはなんともしようがないところです。

Do laws, policies, and practices guarantee equal treatment of various segments of the population?

 法律、政策、慣習は、人口の様々なセグメントの平等な取り扱いを保証しているか?では少数派(部落、先住民族、在日(特に韓国と中国)、LGBT)への社会的差別が課題とされています。また亡命の受け入れ数が少ないことも減点要因のようです。これらは確かに日本社会において常に議論が行われている内容ですのでなんとも難しいところですが、リベラル視点からの減点要因であることには間違いないでしょう。

Do individuals enjoy personal social freedoms, including choice of marriage partner and size of family, protection from domestic violence, and control over appearance?

 個人は、結婚相手や家族の規模の選択、DVからの保護、容姿の管理など、個人的な社会的自由を享受しているか?では日本の戸籍制度による夫婦の姓の課題や、同性婚が法的に認められていないこと、報告されていないDVが多いと推定されることが減点要因となっています。姓や同性婚については各国の文化的背景が異なるため一律に欧米に合わせればいいというわけではないと思いますが、まあこれも国内で議論になっていますのでその結果次第でしょう。

Do individuals enjoy equality of opportunity and freedom from economic exploitation?

 個人が機会の平等と経済的搾取からの自由を享受しているか?では長時間労働や非正規雇用外国人労働者の搾取、商業的な性的搾取が減点要因となっています。これはもう大衆的には大多数が同意する課題かと思います。

 

まとめ 

 総じて、日本国内において課題と認識されているもの、議論となっているものを適切に理解して分析していると感じます。人によって納得できるかどうかは分かれるとは思いますが、減点内容についても合理的な理由がちゃんと説明されています。

 減点項目について、その改善を目指すのか、日本としてはこのままが良いと判断するのかは今後の国民的な議論に任せることとしましょう。まあ個人的には記者クラブ制度の廃止と労働搾取あたりは改善の余地有りかと思います。